CTE部門と外国語教育部門(英語系)は2024年9月26日、今年度で2回目となる「英語系科目勉強会:Target 2025 Teaching Excellence Exchange Series~グッドプラクティスの共有」を、一般教育棟内の教室を拠点として、対面・オンラインのハイブリッド形式で開催しました。
 テーマは「ラーニング・ログを取り入れた効果的な授業展開」でした。ラーニング・ログとは、端的に言うと、学習プロセスの記録のことです。この記録を教員や学生同士で共有することで、学習意欲の向上、より自律的な学習につながると考えられ、デジタル化教材が増えた近年、注目度が高まっています。
 今回の勉強会では、外国語教育部門(英語系)に属している4人の先生が、それぞれラーニング・ログを使った授業例を紹介しながら、クラスの特性や目的にあわせた活用方法、効果や成果、課題などを話しました。対面で参加した教員は9名、Zoomで参加したのは6名です。CTE部門の石田衛教授がファシリテーターを務め、講師と参加者との間で質疑応答、意見交換も行いました。

講師4人と演題は以下の通りでした。
・スーザン・メイキ(Susan Meiki)先生「上級英語TOEICコースにおけるラーニング・ログの適用」
・ナオミ・フジシマ(Naomi Fujishima)先生「より自律的な英語学習をめざしたラーニング・ログの活用方法」
・テレサ・ストックウェル(Teresa Stockwell)先生「初年次英語リスニング授業におけるリスニング・ログの効果的な活用」
・クレア・ウチダ(Claire Uchida)先生「リスニング・ログに関する学生の理解促進と中級以下の学生へのアプローチ」

講師4人の発表をまとめた要旨は以下の通りです。
ラーニング・ログの内容例】
・利用した教材(サイト名や本の題名、ページ番号など)
・どんな学習活動をしたか(リーディング、視聴、シャドーイング、小テストに挑戦など)
・学習した日付、かけた時間
・感想や省察(どんなことを身につけたか、満足したか、次回はどう改善できるかなど)
・次回はいつ、何を学ぶか

【学生にとってのラーニング・ログの目的】
・自分の学習の進捗状況を定期的に知る。
・学びのプロセスを振り返り、改善方法を考える。
・英語で書く能力を高める。

教員にとってのラーニング・ログの目的】
・学生の進捗状況を把握する。
・学生の学習と努力を評価する。
・学生の興味とやる気を維持する。

ラーニング・ログを使う授業例】
・教員は、学生に目標や学習計画を立てさせる。
・教員は学習期間、学習の時間や頻度を示す。学生が学習活動を終えたらラーニング・ログをつけ、指定の日時までに提出するよう求める。
・教員は教材、学習方法に関する情報などを提供し、学生自身に教材を選ばせる。
・教員はラーニング・ログのつけ方(テンプレート、良い例、悪い例など)、評価基準について情報を提供する。
・教員は学生のラーニング・ログを見て、フィードバック(アドバイスや励ましの言葉)を与える。
・対面授業があれば、学生同士でラーニング・ログの内容を話し合わせる。
・教員はラーニング・ログを評価し、成績の一部とする。

【ラーニング・ログの効果】
・学習を習慣にできる。
・学生が学び方を学ぶ。自分にあった学習スタイルを見つける。
・教員が学生の進捗状況を把握でき、評価しやすい。
・学生は教員からのフィードバックで、自信をつけたり、やる気を出したりする。
・学生自身が目標設定から省察まで責任を負うので、自主性が育つ。

【ラーニング・ログの課題】
・就寝の直前や疲れたときに英語学習をする学生がいる。
・ラーニング・ログをつけ忘れたり、書く時間がなかったりという学生がいる。
・英語で書くのが苦手な学生がいる。
・Googleフォームの利用に慣れない学生がいる。

【英語が苦手な学生への指導のコツ】
・学生に意思決定を委ねる。
・学生の経験に関連することを学ばせるようにする。
・課題は無理のない量にして、継続して学ぶように促す。
・ペアワークもしくはグループワークを取り入れる。
・グループワークでは、日本語を使うことも許可する。

 参加者からは、学生がログをつける際に翻訳ソフトや生成系AIを使う可能性について質問があったほか、「毎日少しずつ継続的に勉強する」という方法自体に嫌悪感をもつ学生にはどう対処するか、などについて意見交換がありました。

           

          勉強会の様子
          講師を務めた4人の先生。
          スーザン・メイキ(Susan Meiki)先生(後列左)、
          ナオミ・フジシマ(Naomi Fujishima)先生(前列左)、
          テレサ・ストックウェル(Teresa Stockwell)先生(後列右)、
          クレア・ウチダ(Claire Uchida)先生(前列右)。